2021.10.10更新
浙江海寧皮影戲は華東に位置する浙江省海寧市に分布する影絵芝居で、南宋時代に首都・臨安にやってきた北宋の影絵師によって広まったと言われる。
海寧皮影戲では、北宋音楽と海寧音楽の融合により独特で古風な音楽が生み出されており、笛、二胡などの伝統楽器によって演奏が奏でられ、海寧方言が用いられる。音楽の曲調は高らかで、激しくも優雅で結婚式などのお祝いの場で演じられることが多い。
また、海寧は蚕糸を豊富に生産するため、蚕農家は豊作を祈願するため、影絵劇団を招いて一晩中公演させながら蚕を育てたともいわれ、こうして演じられた皮影戲は「蚕花戯」または「蚕花班」と呼ばれた。
海寧皮影戲は通常4〜5人ほどで、人形は牛革で作られ、演目には「西遊記」「水滸伝」「封神演義」「双玉印」「聚宝盆」「後玉婿蜒」など300近くものレパートリーがある。1930年代には、海寧に数十の影絵劇団と数百人の演者がいたといわれ、邱兆兴、陳玉林、張九元、沈金松といった多くの影絵師が知られた。
しかし、影絵芝居の衰退により海寧皮影戲もまた衰退し、1950年頃にはプロ劇団はなくなり、数えられるほどのアマチュア劇団しか存在しなくなった。現在は、国や海寧市による国家無形文化遺産代表プロジェクトの運営などによって維持されている。
華中地方、湖北省の中央と南部に位置する江漢平原では、古代より青銅、竹、木、皮革、切り紙などの工芸が盛んで、影絵芝居誕生に良好な条件が整っており、皮影戲も盛んに演じられた。
湖北の皮影戲は、人形が大きい江漢平原系、人形が小さい陝西系があるが、江漢平原系の影絵は見た目が鮮やかで、約70〜80センチと大型の影絵人形を用い、湖北省の皮影戲の代表的存在となっている。
江漢皮影戲の中でも特に有名なのが沔陽(べんよう)皮影戲だ。民族色が濃く、牛皮を使用した人形に丁寧な細工が施される。基本的に詳細な台本はなく、演者がベースの物語に基づいてユーモアを交えながら即興で歌や筋を展開する。
その口頭文学芸術形式は、江漢平原の影絵芝居の主要な特徴であり、三国志、水滸伝、西遊記など300以上の多くの演目がある。
李丹丹. 传统的皮影. 北方妇女儿童出版社, 2017
李跃忠. 中国皮影. 山东友谊出版社, 2013
中国皮影戏入选人类非物质文化遗产代表作名录,搜狐网.2016-01-22
皮影戏,西安文明网.2014-07-09
皮影戏的分类,中国戏剧网. 2014-07-07