影絵手帖

月岡グリムの影絵ブログ

中国の影絵2~皮影戲の上演

世界の影絵

2021.07.20更新

中国の影絵2~皮影戲の上演

皮影戲の上演形式

皮影戲の上演では、二胡、板胡、雲鑼など中国の伝統的な弦楽や打楽器などを用いて地域やその時代ごとの流行曲を奏で、その演奏に合わせて演者たちが白い幕の後ろで人形を操り、さまざまなストーリーを演じる。

演者は人形をスクリーンに密着させ、竹の棒を使って操るが、柔軟に操るだけでなく、話し、読み、歌い、足元では銅鑼や太鼓を鳴らすことなども行う。
スクリーンの大きさは様々だが、移動用の場合は1平方メートル程度で、持ち運びもできるようになっている。

劇団の人数は様々だが、小さな劇団は3〜4人で構成され、2人が影絵人形を持って歌い、1〜2人が演奏する。人形の数が増えたり、オーケストラやボーカルを導入したりするなどして人数が多くなるケースもある。

多くの場合、皮影戲の演者は師匠につくなどして長年にわたって技術を取得するため、楽器を巧みに操り、高い歌唱力を持っている。また、人形の操術に関しても名手は一人で8つの影絵人形を同時に操ることができると言われる。

代表的な演目

皮影戲で上演される演目は、三国志や水滸伝などの歴史演義劇、金瓶梅や白蛇伝などの民間伝説劇などの他、武侠劇(アクション物)、ラブストーリー、神話寓話、地域ごとのオリジナルストーリーなど数え切れないほど多い。さらに戦後は現代劇も発展し、亀と鶴、東郭先生、白毛女、劉胡蘭、小二黒の結婚など多くの作品を生み出した。

宗教色の強いワヤン・クリなど他国の影絵芝居と比較すると、演目の種類や幅は圧倒的に広く、中国の影絵芝居がいかに大衆娯楽として発展していたことがわかるだろう。こうした大衆娯楽要素の強い皮影戲は、戯曲や演劇、映画など、多くの中国の芸術に密接に関係し、その後の中国の大衆娯楽の発展に大きな影響を与えることになる。

参考文献

李丹丹. 传统的皮影. 北方妇女儿童出版社, 2017
李跃忠. 中国皮影. 山东友谊出版社, 2013
中国皮影戏入选人类非物质文化遗产代表作名录,搜狐网.2016-01-22
皮影戏,西安文明网.2014-07-09
皮影戏的分类,中国戏剧网. 2014-07-07